あなたはどんな花をもらったら嬉しいですか?
✿どんなお花でも気持ちが嬉しい
母の日が過ぎ、SNSにはたくさんの「お花の贈り物」にまつわる投稿があふれていました。
小さな子どもが、お小遣いを握りしめて選んだ一凛のカーネーション。
「お花なんて照れくさい」と言っていた旦那さんが、奥さまの好きな“黄色”を思い浮かべて選んだ一束の花が菊の花だった事。
その花選びの過程や、贈る人の表情まで思い描けるようで、SNSを読みながら、笑みがこぼれてしまいました。
お花そのものは、もしかすると特別な品種ではなかったかもしれません。
けれど、そこに込められた気持ちやストーリーが加わると、不思議とその花は世界に一つだけのかけがえのない贈り物に変わるのだと思います。
“誰かを思って選ぶ”ということが、何よりの贈り物。
だから、きっとどのような花でももらったら嬉しい
そう思いながらも仕事柄伺いたい!
あなたはどの様な花を貰ったら嬉しいですか?

私がもらいたいお花、そして贈りたいお花
✿私がもらいたいお花
私は子どもの頃から、お花が大好きでした。
まだ幼稚園の頃、庭に咲いていた草花を母にそっと包んでもらい、それを、幼稚園の教室の花瓶に飾てもらっていました。
花瓶の中に小さな季節を持ち込むような気持ちが、子どもながらに嬉しくて仕方なかったのを覚えています。
小学生になると、迷わず「花係」に立候補。
毎日の水替えはもちろんのこと、もっとたくさんの人にお花を持ってきてもらいたくて、押し花で作ったしおりをクラスのお友だちに配ったりもしていました。
誰かのお誕生日には、まだ見よう見まねのアレンジメントを作ってプレゼントしたり。
そんな風に、お花はいつしか「ただ可愛い」「ただ綺麗」な存在ではなく、「人を笑顔にできるもの」として、私の中に根付いていったように思います。
そんな私が、いま「もらって嬉しいお花」とは。
正直に言えば、どんなお花でも、贈ってくれるその気持ちだけで十分嬉しいものです。
でも、あえて選ぶなら、少しシックな色合いのものや、ちょっと珍しい品種の花に心がときめきます。
たとえば、くすみカラーのバラや、ほんのり緑がかったアジサイ、名前を知らなかったような個性的なフォルムの花。
そんな花たちは、まるで小さなサプライズみたいに、私の心の温度をふっと上げてくれるのです。
そしてきっとそれは、”私らしい”花でもあるのかもしれません。
お花を贈ること、もらうことは、その人のことを想う時間を分け合っているような気がします。
だからこそ、どんなお花を選ぶかって、ちょっとした“心の手紙”のように感じるのです。

写真の花は庭に咲くアジュガの花。花言葉は絆
✿私が贈りたいお花
では、私が「贈りたいお花」とはどんなものか。
今回は、“私が誰かにお花を贈るとしたら”という想いで、少しお話させてください。
まず私がするのは、その人のことを思い浮かべることです。
たとえば、よく着ているお洋服の色。お部屋の雰囲気。どんなものにときめく人だったかな?と。
趣味や性格、話し方、好きな季節や香り…小さな記憶のかけらをたぐり寄せながら、少しずつ「その人らしい花」を思い描いていきます。
そして素材を選ぶときに大切にしているのは、プリザーブドフラワーならではの魅力を生かすこと。
たとえば、額縁からあふれ出すような立体的なアレンジ。壁にそっと寄り添うように飾れるデザイン。
生花では難しい色味をあえて使ってみたり、空間に溶け込むような淡いグラデーションを重ねてみたり。
「枯れないお花」だからこそ、ずっとそばに置いておきたくなるような、見飽きないお花を意識して作ります。
私が贈りたいお花は決して主張しすぎず、でも、気づけばそこにいる。まるで最初からそこにあったように、日常にそっと溶け込む。
そしてふと目にしたときに、小さなぬくもりや優しさを思い出させてくれるような存在であってほしいと思っています。
もちろん、この気持ちは作成依頼を受けた時も同じです。
花を贈るお手伝い
✿ajugaのお花を贈る方への想い

優しくて、可愛い彼女へプロポーズ
この写真は、プロポーズのサプライズに添える花として、ご依頼をいただき、
その特別な瞬間のために作成しました。
ただ美しいだけでなく、その後の人生にもそっと寄り添うものでありたい。
そんな想いから、アレンジメントの中に小さな工夫を加えました。
2本のピンをそっと差し込み、プロポーズのあとはリングピローとしても使っていただけるようにしました。
“今”の気持ちが、“これから”へとつながっていくように。
大切な瞬間が、かたちとしてそばに残り、思い返すたびに心が温かくなるように。
ご依頼いただいた想いに、ほんの少しでも想像を超えるサプライズや、ときめきを添えられたら
それが、私の花づくりのいちばんの喜びです。
おわりに
✿贈る花選びのお手伝いをさせていただきます
お花を贈るって、ちょっぴり照れくさい。
いつもと違う行動だからこそ、どうしたらいいのか戸惑ってしまう。
「どんな色が好きだったかな」「いつもどんな服を着てただろう」
「趣味なんて、聞いたことなかったかも…」
そんな風に迷ってしまうことがあると思います
しかし、大丈夫なんです。
なによりも大切なのは、“その人のことを思い浮かべている時間”。
たとえはっきりとは分からなくても、「喜んでもらえたらいいな」と願いながら考えているその気持ちこそが、もうすでに贈り物の一部です。
ajugaでは、そんなあなたの気持ちに寄り添いながら、お花の物語を一緒に紡いでいきます。
贈る人にも、贈られる人にも、
「こんなに想ってくれてたんだ」と、心が温かくなるような、そんなお花を
お花を贈るという行為が、もっと自由で、もっと素直で、そしてちょっぴり特別なものになりますように。
そう思って日々、ひとつひとつ丁寧にアレンジメントをお作りしています。
「お花を贈ってみたい」と思ったときは、どうぞ気軽にご相談ください。
ajugaが、あなたの“想い”のそばに寄り添えたら嬉しいです。

✿お別れした後に贈た花の物語
少し余談になりますが、初めてレッスンに来てくださったある生徒さんとのお話が、とても心に残っています。
その方はこう話してくれました。
「うちの主人は、とにかく“物がある”ことが嫌いな人だったんです」
ご自宅はいつも整然としていて、時には少し寂しいくらいに何もない空間だったそうです。
「子どもが一生懸命つくった工作も、あっという間に処分されちゃって…。飾るとか、残すとか、そういうことが本当に苦手な人でした」
そんなご主人は、ある日には生徒さんが庭に大切に育てていたお花まで抜いてしまったそうです。
「本当に頭にきてね」と苦笑いしながら語ってくださいましたが、そのお話を聞いて、私の心も痛くなりました。
そして生徒さんは、今こうしてレッスンに来られるようになったのはご主人が亡くなられたからだと教えてくれました。
これからは思う存分花が飾られると
初めてのレッスンで作られたアレンジメントは、色鮮やかにお花へ思いがあふれ出す作品でした。
「どこに飾られるんですか?」と尋ねると、少し考えて、
「うーん…主人の仏壇にしようかな」
と笑われました。
私はそのとき、胸がじんわりと熱くなりました。
“物を持つことが苦手だった”ご主人。
それでも、生徒さんの中にはきっと、ご主人との日々に温かい記憶がたくさんあったのだろうと。
本当は、もっと早くお花を通してご主人と物語を紡いでほしかったな…という思いもありましたが、
同時に「お花は、もう会えなくなった人にも、想いを届けられる」ということを、教えていただいた気がします。
お花はただの飾りではなく、誰かへの想いをそっと託す、かたちある手紙のようなもの。
そしてその手紙は、亡くなった方にも、離れている誰かにも、きっとちゃんと届くのだと思います。
これからも、そんな花物語のお手伝いができたらと、あらためて思いました。
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